「相続」「遺言」「任意後見」許認可等の各種手続きまでトータルサポート

 · 

診療所における管理者の常勤について

診療所における管理者の常勤について

診療所の管理者の常勤とは何か

 

いままで、診療所の管理者の常勤性については、不明確な部分がありました。

 

たとえば、昭和29年10月19日付けの通知では、「医療法第十条に規定する病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所における管理の法律上の責任者であるから、原則として診療時間中当該病院又は診療所に常勤すべきことは当然」とされています。

 

診療時間中とされており、365日診療している病院ではどうするのかと疑問も湧きますが、専従性まで求められておらず、当時の時代背景と現在では違いがありますので、診療時間中常勤というのは24時間365日病院に張り付いているべしという意味ではないと思われます。

 

また、平成24年3月30日の通知には、「病院の管理者は常勤であること」と一行記載があります。

 

常勤医師の定義としては、医療法第25条第1項の規定に基づく立ち入り検査要綱の別紙で、「病院で定めた医師の1週間の勤務時間が、32時間未満の場合は、32時間以上勤務している医師を常勤とし、その他は非常勤医師として常勤換算する」と記載されています。

 

この検査要綱は、主に病院が対象と思いますが、過去、保健所などに医師の常勤とは?と問い合わせをした際、32時間以上であるとする回答をもらったことがあります。

その回答も、おそらく上記のような要綱をもとにしていたかと思われます。

 

上記のように、診療所の管理者の常勤については、あまり明確な規定もなく運用されていた感は否めなかったと思います。

 

そのため、令和元年9月19日付けの通知では、診療所の管理者の常勤について、「診療所の管理者は、医療法に規定する管理者の責務を果たす必要があることから、原則として勤務時間中常勤とすること」と記載されています。

 

非常勤医師を入れて週6日や7日診療している診療所は少なくなく、当該通知も同様に、診療時間中、常に診療所に管理者がいる必要があるということではなく、あくまで管理者の勤務時間とされている時間は常勤といった意味かと思います。

 

また、当該通知には、常勤の要件を緩和している記載もあります。

①へき地や医師少数区域等の診療所又は地域における専門的な医療ニーズに対応する役割を担う診療所において、常勤の医師を確保することが困難である場合

②管理者となる医師の育児・介護等の家庭の事情により一定期間弾力的な勤務形態を認める必要性が高い場合等

 

ただ、この通知は、勤務時間中常勤といったところに少し問題があるのではないかと考えています。

 

勤務時間中とは何を意味するのか。

もし労働基準法の所定労働時間と同義であれば、勤務時間中勤務を全うしていれば常勤と考えると、週1~2日ほど勤務する非常勤医師も常勤と考えることができ、そもそも常勤非常勤の区別がつかなくなることになります。

 

また、上記、常勤の要件緩和も、単に勤務時間を短くして常勤性を保てれば、要件を緩和する必要もないのではと疑問が残ります。

 

少しややこしくなりましたが、ある自治体では、当該通知は技術的助言であるので、この通知を踏まえつつ、勤務時間ではなく、従前の通り診療所の診療時間を基準に常勤性を考慮する旨回答がありました。おそらく、どの自治体も概ね似たような対応になるかと思われます。

 

たとえば、診療所が週6~7日診療を行っている場合、管理者はその診療時間中、常に勤務していなければならないかといえばそうではなく、へき地医療などと同じように、勤務していない日も常時連絡がとれる体制を確保する等、管理者の責務を確実に果たすことができるようにしていればよいということになるかと思います。(結局は今までとあまり変わらない)

 

このあたりは、個別具体的に診療所ごとに判断されるものですが、今回も少しわかりにくい通知かなと思いました。

 

 

対応エリア

神奈川県横浜市、川崎市等を中心に関東全域に対応しています。

その他エリアも必要に応じて対応いたします。

ご相談の流れ

一般的なご相談の流れは以下のようになります。

1.お問い合わせ・相談予約

2.ご相談

3.ご依頼・受任

4.業務開始