法定後見制度の改正要綱について
後見制度の改正点(特に気になる部分の抜粋)は以下のとおり。
(令和8年2月に法制審議会総会にて採択、4月に閣議決定され、施行されるのは令和10年頃を予定。)
1.補助制度への一元化
現行では3類型(後見・保佐・補助)の法定後見制度が、補助制度へ一元化されます。
ただし、改正後当面は現行制度と新制度は併存します。
イメージとしては、
保佐・補助 → 補助(同意権・代理権で調整)
後見の場合は、特定補助という新規定で代替されるのかと思っていましたが、全く違う概念で捉えなければいけません。(後見 ≠ 特定補助)
つまり、特定補助は、必ずしも代理権が付与されるわけではないことや(代理権付与の審判の必要性)、代理権が付与されても包括的な代理権ではないということなどに留意が必要です。
ここ数年、ようやく3類型のうちいずれかを伝えれば、各種窓口で細かく3類型の説明をしなくてもよくなりましたが、補助制度に一元化されることで、向こう数年は登記事項証明書を示しながら細かい説明が必要になるでしょう。
また、後見制度の呼び名も、成年後見制度という一般的な通称はそのままに、補助または法定補助制度及び任意後見制度(任意後見では任意補助制度などと呼び名が変わる予定はないようです)と呼称されるようになるようです。
2.包括的な代理権等の付与の廃止
現行制度の後見類型では、代理権目録等は作成されません。改正では、必要に応じた特定の法律行為へ代理権等を付与することになり、すべての案件で代理権目録等が作成されることになります。
3.鑑定の必要性につき、医師二人以上の意見を聴く
現行の家事事件手続法119条では、「医師二人以上の意見を聴いて」の規定はありません
が、当該規定が追加されます。
そのため、主治医に診断書を書いてもらう場合、主治医のクリニックに医師が一人しかい
ない場合、特定補助等の申立てで鑑定を求められる可能性が高くなるかもしれません。
申立用の診断書は、医師が二人以上いるクリニックか、脳神経外科や認知症外来を行って
いる病院で記載してもらう機会が増えると思われます。
ただ、医師の少ない地域ですと、鑑定の機会が増えるかもしれません。
原因や必要がなくなれば、途中で終了できる
次のような規定が追加されます。
原因が消滅したとき → 補助開始の審判を取り消さなければならない
必要がなくなったと認めるとき → 同意を要する旨の審判や代理権を付与する旨の審判の全部又は一部を取り消すことができる
任意後見制度の改正について
同じように、任意後見制度も改正予定です。
1.任意後見開始の審判の導入
現行制度は、判断能力が低下し任意後見を開始するには監督人の選任が必要でしたが、監督人を選任せず、任意後見開始の審判で開始できるようになります。
ただし、監督人の選任が明らかに必要なケースでは、選任される場合があります。
2.公正証書による申立権者の指定
公正証書によって、法定の申立権者以外の者を申立権者として指定できるようになります。
3.任意後見と補助制度の併存がありうる
現行制度では、任意後見と法定後見が併存することはありませんでしたが、併存を取り消す又は終了させる規定(任意後見契約法4条1項2号及び2項並びに10条3項)が削除されます。

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